りんごの「新種」はどうやって誕生するのか
りんごの種類は全世界では15,000種類、日本では約2,000種類あると言われています。
品種改良による「新種」も続々誕生しています。
では、りんごはどのように「新種」を誕生させているのでしょうか。
交雑育種法
現在、最も多く使われている手法は「交雑育種法」です。
これは、おしべから採った花粉を別の品種のめしべに付着させる方法です。
交配して生まれた果実から採った種子を植え付け、生えてきた小さな木(実生)を育て、その実生や果実の形・色・味・貯蔵力、木の性質や病害虫に対する強さや実際の栽培のしやすさなど優秀なものを選び、その中から選ばれた候補を何年も試験栽培したのち、新品種として認められ、名前が付けられるのです。
新品種が誕生するまでに早くても10年以上を要すると言われています。
「交雑育種」で生まれた品種の例としては、青森県を代表する「ふじ」や「つがる」、長野県の「シナノスイート」「シナノゴールド」などがあります。
「交雑育種」以外には、自然におこる突然変異「枝変わり」を利用する方法もあります。この場合、もとの品種の食味を受け継いだまま、果実の着色がよくなったり、熟期が早くなるなどの部分的な変化が生じます。
「枝変わり」とは?
植物にはしばしば、紫外線などの影響で細胞に特別変異が起こり、一本の枝や茎だけに元とは異なる形質があらわれるという、枝変わりという現象が生じます。そしてりんごの品種の中にも、この枝変わりによって誕生したものがいくつか存在し、枝葉や花、果実など植物の一部分だけが他の部分と違った性質になることがあります。
りんごはこの性質を利用して、品種改良をします。苗木屋さんがいくつものりんごの掛け合わせの中から色づきを良くしたものを販売し、生産者は接木をして増やしていきます。
「ふじ」の「枝変わり」で生まれた品種の例
着色の良い:「こまちふじ」「みしまふじ」「長ふ6号」「宮美ふじ」
着色良く成熟期が早い(早生):「ひろさきふじ」「やたか」「昂林」「紅将軍」「涼香の季節」「ほのか」
着色しない:「白ふじ」「黄金ふじ」「ゴールドファーム」
「つがる」の「枝変わり」で生まれた品種の例
着色の良い:「芳明つがる」
着色良く成熟期が早い(早生):「ひらかつがる」
着色しない:「つがる姫」
「ジョナゴールド」の「枝変わり」で生まれた品種の例
着色の良い:「アーリージョナ」「モリタジョナ」
着色良く成熟期が早い(早生):「ニュージョナゴールド」